堺の旧市街地に建つ古民家に、100歳を迎えたウィーン生まれのピアノの名器・ベーゼンドルファーの調べが流れる。切れた弦も張り替えず、切断部でつなぎ合わせて使い続けてきた。意外と軽やかな音色。往時のままの音だと知ると、ちょっぴり背筋が伸びる。
ベーゼンドルファーは世界三大ピアノメーカーの一つ。1912年製のこのピアノは、材木も質のよいところだけを、自然乾燥させて使っているといい、やわらかい音を生み出す。95年に古民家にやって来て、今やピアニストで作曲家としても活躍する稲本響さん(34)を育てた。
そのピアノが来月、オーバーホールされることに。そして響さんと弟のクラリネット奏者、渡さん(31)による最後のコンサートが企画された。響さんは「戦友のような存在。100年の歳月を重ねた奇跡の音色を楽しんで」と話す。【撮影・録音 毎日新聞写真部】
【見て、聞いて、楽しんで】調べの光景
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