ファッション誌「VOGUE JAPAN」編集部がスーチーさんにインタビューした際、東日本大震災の被災者に向けたメッセージを収録したものです。同誌6月号(4月27日発売)にインタビュー記事が掲載されています。
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毎日新聞は今年1月1日から、アウンサンスーチーさんの「ビルマからの手紙 2011」を毎月1回のペースで毎日新聞紙上にて連載しています。1995年に毎日新聞が世界で初めてスーチーさんの「手紙」を連載し、98年に中断後、自宅軟禁が解かれたのを機にスーチーさんに直接会い、快諾を受けて再開されたもので、原文の英文は毎日デイリーニューズ(http://mdn.mainichi.jp/)に掲載されています。動画はこうした経緯もあり、「VOGUE JAPAN」編集部のご厚意で毎日JPに提供されたものです。
毎日新聞の「ビルマからの手紙 2011」の5回目は5月23日朝刊に掲載します。4月23日掲載の4回目は、「日本のみなさまへ」と題し、東日本大震災で大きな被害を受けた日本の人々への温かいメッセージでした。ミャンマーは軍事政権による長期支配が続き、国民生活は「世界最貧国の一つ」とされ、だからこそ、スーチーさんはどんな「支援」ができるか悩んだそうです。4回目の一部を引用します。
「悲しいことに、ビルマ(ミャンマー)には他国へ救援物資を送る余裕がない。でも、私たちは知っている。日本人の強さには剛と柔の両面性があり、逆境に立ち向かう際に見せる強じんな精神力だけでなく、繊細な美意識や詩歌をめでるしなやかさを併せ持つことを。だから、物資の代わりに、詩を寄せ合うことにした。ビルマ人の精神を示そうと」
民主化を求めたスーチーさんは自宅軟禁を繰り返され、スーチーさん率いる「国民民主連盟」のメンバーの多くも政治犯として投獄されました。そんな仲間たちをスーチーさんは「良心の囚人」と呼んでいますが、最近になって釈放された仲間が詠んだ被災者に向けた詩は、「夜の明けない日はない」と励ましています。
「夜明けを予感させるもの
それは漆黒よりも暗い闇
真実は闇の中から現れる
ああ世界よ……
勇気を出して手を伸ばし
闇の底からはい上がろう」
スーチーさんは「手紙」最後をこう結びました。
「日本が立ち上がる時、私たちの詩が支えになればと願う」
http://mdn.mainichi.jp/
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